所長メッセージ

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター所長を2024年4月に拝命いたしました、橋本健史(はしもとたけし)と申します。
今後どうぞよろしくお願い申し上げます。

当センターは1989年4月に、石川忠雄塾長(当時)が植村恭夫医学部長(当時)に指示をされ、慶大になかったスポーツ医学の興隆を目的に日吉キャンパスに設立されました。

初代所長は松本三郎常任理事でした。以後、第2代所長植村恭夫、第3代山崎元、第4代大西祥平、第5代戸山芳昭、第6代勝川史憲、そして第7代所長、橋本健史へと続きます。スタッフは医師5名と事務長1名ならびに専属スタッフ4名(保健師2名、臨床検査技師1名、健康運動指導師1名)の合計10名です。また、理学療法士、アスレチックトレーナー、管理栄養士、臨床心理士など多くの研究員が協力してくれております。

 当センターの業務は主に3つで、スポーツ医学の基礎研究、慶大体育会選手のサポートおよびスポーツ医学を志す学生の教育です。それぞれ説明していきます。

1.スポーツ医学の基礎研究

スポーツ医学の使命はアスリートに対する障害予防、パフォーマンス向上へのサポートと、一般社会人に対して身体活動を普及させることによって健康寿命を延伸させていくことであると私は考えています。

アスリートに対しては、スポーツ障害の急性期対応、治療、リハビリテーション、リコンディショニングそして予防法の研究が重要です。ウェアラブルセンサー、AIなどを用いて、ランニング障害予防にむけての研究や、ランナーの突然死やコンタクトスポーツでの脳震盪の詳細な調査などを通じて、その対策への研究などを行っていきます。

一般社会人に対しては、運動・身体活動による生活習慣病予防、ロコモーティブシンドローム予防を目指してさまざまな地方公共団体、企業との共同研究を行っていきます。虚弱高齢者のエネルギー必要量の評価、高齢者の身体活動促進による地域介入などを行っていきます。


2.慶大体育会選手のサポート

大学体育会選手の安全管理、パフォーマンス向上を大学体育会と連携してサポートしていきます。まず、救急対応、治療そしてリハビリテーションからリコンディショニングを行ってスポーツ復帰までサポートします。リコンディショニングは、当センターで体育会専属のトレーナーとともにスポーツ復帰までサポートします。また、体育会基礎講座という講習会を定期的に行い、捻挫や熱中症といったスポーツ障害予防へむけた解説をしています。毎年はいってくる600有余名の体育会選手たちが、けが等の支障なく、立派な競技生活を送れるように、今後とも、実地の指導と研究活動に貢献していきたいと思っております。


3.スポーツ医学を志す学生のサポート

湘南藤沢キャンパスの慶大大学院健康マネジメント研究科とも密接な関係を持っています。私どもは、本大学院で講義を担当するだけでなく、ゼミを持ち、応募してきた大学院生の指導をしながら、ともにスポーツ医学研究を行っていきます。

 私どもは東京オリンピックを契機に高まったスポーツ医学への関心をそのまま未来につなげていき、スポーツを通じた国民のQuality of lifeの向上に貢献していきたいと考えております。そして私はいつの日か、慶大スポーツ医学研究センターが世界一のスポーツ医学研究センターになる日が来ることを願っています。

所長 橋本健史(スポーツ医学研究センター・教授)