ブラシ検査

トンズランス感染症ブラシ検査

近年、柔道やレスリングなどの格闘技選手の間で、Trichophyton tonsurans(トリコフィトン・トンズランス)という新型水虫菌(白癬菌)の感染症が流行しています。高校・大学のスポーツ現場でも感染の拡大が問題となっており、スポーツ医学研究センターでは、2013年から体育会部員のトンズランス感染症について対策を講じています。

日本国内では、2001年ごろから柔道選手やレスリング選手に集団感染が見られるようになりました。現在、格闘技スポーツ界では「たむし、マット菌、かび」などと呼ばれ、選手・関係者であれば知らない人はいないでしょう。
この新型水虫菌は感染力が強く、選手だけでなくその家族や友人、子供達への感染も確認されています。小さな子供に感染すると重症化する傾向があり、社会問題となっています。

この新型水虫菌(白癬菌)には体部白癬と頭部白癬の2種類があります。
体部白癬は顔や首、体部などに赤い環状の特徴的な発疹が現れます。塗り薬(外用抗真菌薬)を1ヶ月塗り続ける必要があります。
頭部白癬はフケが出る、頭皮がむけるなどの軽い症状から、膿がでて脱毛を生じる重い症状まであり、飲み薬(抗真菌薬)での治療が必要です。

この感染症は、かゆみなどの自覚症状が現れにくく、発疹は自然治癒することもあります。しかし、感染を繰り返えすことにより、症状がないにもかかわらず保菌者(無症候性保菌者)となってしまい、気づかぬうちに他の選手に感染させてしまうことがあります。
そこで、スポーツ医学研究センターでは、高校生・大学生のレスリング・柔道部の部員に「頭部ブラシ検査」による年一回のスクリーニング検査を行っています。また、感染拡大防止啓蒙活動として、リーフレット(トリコフィン・トンズランス感染症とは)を作成し配布しています。

ブラシ検査とは

頭髪用ブラシで頭皮をまんべんなくこすり、マルコセル培地に接種します。
10日から2週間培養し、トンズランス菌の集落が形成されれば「トンズランス菌陽性」です。

ブラシ検査は、トンズランス感染症研究会の比留間政太郎先生のご協力を得て行っています。
トンズランス感染症について詳細は、トンズランス感染症研究会のサイトを参照してください。
http://www.tonsurans.jp/

ブラシ検査陽性だった場合は、すぐ練習を中止し、皮膚科専門医を受診して治療を開始します。
トンズランス感染症の診断から治療は、神奈川はた皮膚科クリニックの畑康樹先生
http://hata-hifuka.com/
にご協力いただいています。

検査料金頭部ブラシ検査 600円