スポーツ活動と熱中症予防
スポーツ活動での熱中症を予防するために、知っておくべきポイントを掲載します。
熱中症について詳しく書かれたサイトやわかりやすいページを紹介しますので、併せて参考にしてください。
熱中症はどうしておきるのか
- 体温を上げる要因、下げる機構のバランスで体温は適正な範囲に調整される
- 高温多湿な環境下での運動ではそのバランスの維持が困難になる(図)
- 長時間の運動では筋肉から熱産生が増加する
- 飲水量が少ないと、脱水となり汗の蒸発による熱放散が低下する
- 湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるので熱放散が低下する
- 熱いウエアや防具は熱がこもり、汗の蒸発も妨げる
熱中症の病型分類
熱中症の病型は4つに分類されています
- 熱失神
- 熱痙攣(けいれん)
- 熱疲労
- 熱射病
参考ページ:日本スポーツ協会サイト
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid913.html
- これらは独立したものではなく、時間経過とともに重症度が変化することがあるので要注意
- 頭痛、悪心、脱力感など熱疲労の症状の頻度が高い
- 熱射病は生命の危険があるので、疑われたらすぐに救急車を要請
- 呼びかけに対する反応が鈍い、おかしい、また、自力での飲水ができない、時間経過とともに症状が悪くなるなどは熱疲労→熱射病に移行しつつある兆候なので、救急車を要請する
熱中症に対する現場での対処方法
- スポーツ活動を中止し、涼しい場所やや足を高くして寝かせ,水分を摂取させるに移動する(できれば空調が効いた部屋)
やや足を高くして寝かせ、水分を摂取させる - 以下の症状の場合は救急車を要請する
意識や反応がおかしい、自力で水分摂取ができない、時間経過とともに症状が悪くなるなどの徴候があれば、救急車を要請し病院へ搬送 - 救急車到着までは、以下の方法で周囲の人間が協力し、体の冷却に努める
冷水で体表面を濡らし、板やタオルで送気する。体表面の水分が蒸発したら、また冷水で濡らし送気する。 これを繰り返す。首や太ももの付け根、腋の下をアイスバッグで冷却する。
参考ページ:日本スポーツ協会サイト
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid915.html
熱射病が疑われる場合の応急処置:身体冷却法(氷水浴)
参考ページ:日本スポーツ協会サイト
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid916.html
参考動画:日本スポーツ協会「身体冷却法 -応急処置編-」
参考動画:UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)
https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80
氷水浴は高体温を効果的に下げることができる方法です。しかし、この方法に習熟した医療関係者が現場にいない場合、実施しないで下さい。
熱中症予防のポイント
- WBGTを参考に発症リスクを考慮し柔軟な練習計画を立てる
日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」
- 練習中に給水時間や休憩時間を意図的に取る
- 体調の悪い日は運動量を減らすか、運動しない
- 高温環境に体が慣れる(熱馴化)には10-14日かかる
急に暑くなった日や新入部員は要注意!
日本スポーツ協会『熱中症予防ガイドブック』p.36-38「急な暑さに要注意」を参照のこと - 熱中症が1人発症したら、2人目、3人目が出る可能性大
- ウエアは通気性や汗の蒸発が良いものを選択
- 帽子の着用
日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防5か条」も参照のこと
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke/PART2_heatstroke_0531.pdf
推奨される水分摂取方法
- 試合や練習の4時間前に体重1kgあたり 5〜 7mLの水分摂取
- その後排尿なし、または尿の色が濃い時
2時間前にさらに体重1kgあたり 3〜 5mL摂取 - 運動中は1時間当り400〜 800mLの水分摂取
ただし競技や気象条件により推奨摂取量は増える - 水だけでなくナトリウム、カリウム、糖分も同時に摂取する
スポーツドリンクでOK - 喉が渇いていなくても水分は計画的に摂取する
これをウォーターローディングといいます - 運動前後の体重測定を習慣づける
運動後の体重減少はほとんどが脱水によるものなので、減った分の1.5倍を目安にその日のうちに補給する
もっと詳しく知りたい人は、
- 環境省熱中症予防情報サイト
- https://www.wbgt.env.go.jp/
- 環境省「普及啓発資料ダウンロードページ」マニュアルやガイドラインをダウンロードできます
- https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php
- 労作性熱中症に対するスポーツ現場での対応 ―cold water immersion はわが国で広まるか?―
- スポーツ医学研究センター紀要2018-2019 真鍋知宏