スポーツ活動と熱中症予防

スポーツ活動での熱中症を予防するために、知っておくべきポイントを掲載します。
熱中症について詳しく書かれたサイトやわかりやすいページを紹介しますので、併せて参考にしてください。

熱中症はどうしておきるのか

  1. 体温を上げる要因、下げる機構のバランスで体温は適正な範囲に調整される
  2. 高温多湿な環境下での運動ではそのバランスの維持が困難になる(図)
  3. 長時間の運動では筋肉から熱産生が増加する
  4. 飲水量が少ないと、脱水となり汗の蒸発による熱放散が低下する
  5. 湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるので熱放散が低下する
  6. 熱いウエアや防具は熱がこもり、汗の蒸発も妨げる

高温多湿での体温調整.png

熱中症の病型分類

熱中症の病型は4つに分類されています

  1. 熱失神
  2. 熱痙攣(けいれん)
  3. 熱疲労
  4. 熱射病
参考ページ:日本スポーツ協会サイト

https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid913.html

 

  1. これらは独立したものではなく、時間経過とともに重症度が変化することがあるので要注意
  2. 頭痛、悪心、脱力感など熱疲労の症状の頻度が高い
  3. 熱射病は生命の危険があるので、疑われたらすぐに救急車を要請
  4. 呼びかけに対する反応が鈍い、おかしい、また、自力での飲水ができない、時間経過とともに症状が悪くなるなどは熱疲労→熱射病に移行しつつある兆候なので、救急車を要請する

熱中症の症状と重症度.png

熱中症に対する現場での対処方法

  1. スポーツ活動を中止し、涼しい場所やや足を高くして寝かせ,水分を摂取させるに移動する(できれば空調が効いた部屋)
    やや足を高くして寝かせ、水分を摂取させる
  2. 以下の症状の場合は救急車を要請する
    意識や反応がおかしい、自力で水分摂取ができない、時間経過とともに症状が悪くなるなどの徴候があれば、救急車を要請し病院へ搬送
  3. 救急車到着までは、以下の方法で周囲の人間が協力し、体の冷却に努める
    冷水で体表面を濡らし、板やタオルで送気する。体表面の水分が蒸発したら、また冷水で濡らし送気する。 これを繰り返す。首や太ももの付け根、腋の下をアイスバッグで冷却する。
参考ページ:日本スポーツ協会サイト
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid915.html

熱射病が疑われる場合の応急処置:身体冷却法(氷水浴)

参考ページ:日本スポーツ協会サイト

https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid916.html

参考動画:日本スポーツ協会「身体冷却法 -応急処置編-」

https://youtu.be/g2FZVArhb48

参考動画:UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)

https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80

氷水浴は高体温を効果的に下げることができる方法です。しかし、この方法に習熟した医療関係者が現場にいない場合、実施しないで下さい。

熱中症予防のポイント

  1. WBGTを参考に発症リスクを考慮し柔軟な練習計画を立てる

    日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」


    熱中症予防運動指針.jpg

  2. 練習中に給水時間や休憩時間を意図的に取る
  3. 体調の悪い日は運動量を減らすか、運動しない
  4. 高温環境に体が慣れる(熱馴化)には10-14日かかる
    急に暑くなった日や新入部員は要注意!
    日本スポーツ協会『熱中症予防ガイドブック』p.36-38「急な暑さに要注意」を参照のこと

    https://https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke/PART4_heatstroke_0531.pdf

  5. 熱中症が1人発症したら、2人目、3人目が出る可能性大
  6. ウエアは通気性や汗の蒸発が良いものを選択
  7. 帽子の着用

推奨される水分摂取方法

  1. 試合や練習の4時間前に体重1kgあたり 5〜 7mLの水分摂取
  2. その後排尿なし、または尿の色が濃い時
    2時間前にさらに体重1kgあたり 3〜 5mL摂取
  3. 運動中は1時間当り400〜 800mLの水分摂取
    ただし競技や気象条件により推奨摂取量は増える
  4. 水だけでなくナトリウム、カリウム、糖分も同時に摂取する
    スポーツドリンクでOK
  5. 喉が渇いていなくても水分は計画的に摂取する
    これをウォーターローディングといいます
  6. 運動前後の体重測定を習慣づける
    運動後の体重減少はほとんどが脱水によるものなので、減った分の1.5倍を目安にその日のうちに補給する

もっと詳しく知りたい人は、

環境省熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/
環境省「普及啓発資料ダウンロードページ」マニュアルやガイドラインをダウンロードできます
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php
労作性熱中症に対するスポーツ現場での対応 ―cold water immersion はわが国で広まるか?―
スポーツ医学研究センター紀要2018-2019 真鍋知宏